俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「今の俺は、それでも兄貴に嫉妬して、…琴乃ちゃんを疑って傷つける自信があるんだ。」

「…ケイちゃん………」


この長い沈黙に耐え切れず、
情けなくも、俺から出た言葉は、

「いつか呆れられる…」


すると、

「そんなことないよ!だってあたし……三歳、おねーさんだから!」


そう言って琴乃は、
涙で濡れた頬を手で拭きながら、
俺に、精一杯の笑顔をくれたんだ。


「俺の言ってること、分かってくれる?」

「…うん。」

「ふっ!…泣いたカラスが〜ってヤツだな。(くそっ!ものわかりがイイじゃねーか!)」

「…ねぇケイちゃん。」

「ん?」

「あたし達…もう少し大人になってから出会ってたら、状況は違かったと思う?」

「…それは分かんないよ。でも…そうだな…そう考えれば、楽しみだな!」

「うん。」

「うん…」



そこからの帰り道、
俺たちは、あまり話をした覚えがないんだ。


ただ俺は、
歩きながら、それまでの出来事が次々と頭を過り、

“琴乃の家までが、まだまだずっと、遠ければ良いのに”と思う気持ちと、

一刻も早く独りになって
気が済むまで、
声を出して泣くなり、
街に出て、ひと騒ぎするなりしたかった。


実際は、部屋でひっそりと、沈み込んでただけだったっけ…
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