俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

未知なる道

駿祐のオリンピックへの夢は
あと、ほんのコンマ何秒という世界で、
惜しくも幕を閉じた。



4年後のことはわからないが、
それまでにも、大きな大会は、
まだまだある。


だから駿祐は、
日本代表をねらいながら、
地道にスポーツトレーナーのための勉強にも励み、

そして、あの日のメールから
少しずつではあるが、
恋の行方も…


すべての方向から射した光が、
ひとつになって、
ずっと先まで照らしてくれているような
そんな気がする駿祐は、

その導きを踏み外さぬ様
一歩一歩、慎重に
踏みしめながら、進んでいくのだった。


いつしか、その道を
琴乃と二人で歩んでいるものと、
信じながら…



バイトに復帰した慶太は、
そんな二人の様子を、紺野から聞かされ、
もどかしくてしょうがなく思っていた。


そんなある日のことだった。


朝、雨が振っていたので、
スクーターをやめて、電車で移動をしていた慶太は、

その車中で、例のあの娘と遭遇したのだった。


学校帰りのようで、
制服を着て、俺の前に座っている彼女。


これは、又とないチャンスだと、
分かってはいるが、
話しかける動機がみつからない慶太。


授業でとったノートに目を通す彼女の、邪魔をするわけにもいかなかった。
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