俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「あ、お帰り。」

「おお。だいぶ、日焼けしはじめたな。」

「屋外のプールは面倒だけど、気持ちいいよ。」

「な。俺も、ついつい顔出してたよ。」

「そうだ!あの人、来てたよ。ほら、兄ちゃんの机の写真の女。」

「…いつ?」

「昨日。元部長って男と一緒に。」

「へ〜。…紺野は?」

「今週は来なかった。」

「そっか…」


水泳部ではなかった駿祐にとって、
母校のプールサイドは、
踏み込みづらい場所だった。


はじめて、孤独感に襲われていた、その時も、

気持ちを押し沈める駿祐は、

あえて、メールをしなかった。


この辺りから、
少しずつ、ふたりの歯車は、ズレはじめていたのかもしれない。


駿祐が、疲れているだろうと、

気をつかった琴乃は、
これで、3日、メールを送っていなかった。


考えてみれば、
ここ1年、こんなに、連絡をとり合わなかったことはない。


しかも、学校で会うこともなくなった、今になって…


駿祐が、不安を募らせていることなど、
全く、知る由も無い琴乃は、あるミスを犯した。


それは、地元で有名な夏祭りのことで、

高校の友達が、それを観たいからと、
琴乃に、案内を頼んできたのが発端だった。
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