俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そんな時だった。

広間の襖が開いたと同時に、

「ジャ〜ン!大変遅くなりましたぁ。紺野裕一、ただ今参上となりました〜。」


昔と変わらぬ調子の良さで、
やっと、最後の一人の参加者の、
悪びれた色もない登場のおかげで、

琴乃は質問ぜめから解放された。


「あ、そうだ!幹事って誰だっけ?」

紺野はそう言って、
襖の向こうに、一度、姿を消した。


「あたしだけど、何?」

学級委員だった遠藤さんが答え、

皆も、不思議そうに、紺野の姿を追う。


「クラス会の話、聞いてねーってヤツ、連れてきたぞ。」

「えー、ウソ!そんなはず…」


そう言いながら、紺野が引っ張り込んだのは、


“寺岡 駿祐” だった。

「お〜!!駿祐!」

「なんだよ、おまえ!成人式、なんで来なかったんだよ?!」


広間は、たちまち盛り上がりを見せた。


「迎えに行ったらよぉ、俺知らねぇって、イジけてよぉ!無理矢理連れてきたから遅くなっちまったよぉ。幹事!俺の分どうなってんの?」

遅れてきた分を、取り返すかのように喋りだす紺野は、なぜかその場を仕切りはじめる。

「駿の今からの注文は、別伝票だから…ミスった幹事の自腹な!
お〜先生!久しぶりっす。今日はご馳走様っす!なワケね〜か〜!」
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