俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「高校生になって、気がついちゃったんだもん!駿祐とあたしの、大きな違いに…自分が凡人すぎて、情けなくなってくる。」

「凡人って」

「うちの水泳部は、中学の延長…ううん、もしかしたら、それ以下!夏に、ただでプールに入れるからって。そりゃそうだよね、水泳に本気なら、違う学校に行ってるもんね。通ってる学校に、水泳部があったから所属してますって感じ。」

「だから?」

「そんなあたしじゃ、今の駿には、不釣り合いでしょ?」

「なんで、そうなるんだよ?」

「だって、同じところを目指してる人の方が、話も合うし、時間だって、友達だって同じなわけだし、」

「俺が邪魔?」

「ち、違うよ!」

「こうやって、遊びたいんだろ?海に行って、祭りに行って、」

「無視したのはそっちじゃん!あたしは、何度もメールした!」

「俺は忙しんだよ!」

「だから、邪魔しちゃいけないと思ったから…」

「もう、いいよ!」


階段に向かって歩きだす駿祐を、呼び止める琴乃。


「ちょっと、待ってよ!」

「タクシーで行く。おまえは電車で行けよ…な。」


結局、ホームに残された琴乃は、次の電車を待つわけでもなく、

ただ、呆然とそこに立ち尽くしていた。


駿祐の言葉が、頭の中でこだまする。


“やだな…行くなよ…”


それは、はじめて駿祐が投げてくれた、
束縛的な言葉だった。

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