俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
第二章 三人の関係

複雑な気持ち

高3の春。

中学時代の水泳部の顧問の、他校への移動が明らかにされた、ある日、

生徒の実家の、喫茶店を貸し切り、
現役部員と卒部生とで、
送別会をすることになった。


駿祐のことも誘ったと言う紺野から

「今、各大会や、総体水泳競技会の先にある、インターハイにも向けて、気の抜けない時期で、それどころではないらしい」と、

そう聞いた琴乃は安心し、

ふたつ返事で、
準備から参加していた。


琴乃は今でも、駿祐から、解放されていなかった。


高校での友達もでき、

何度か、男子に言い寄られたこともあったのだが、

彼氏と言える存在は、未だにいない。


あのことがあって以来、

夏祭りにも、
中学のプールにさえも、

駿祐とのことを、思い出す要因となる場所には、

メンバーに誘われても、
なんだかんだと言っては、断わり、避けていた。


母校に行けずにいた、もう一つの理由に、

そこには、

“駿祐の弟が居る”

ということもあったからかもしれない。


もちろん、この送別会場にも、その弟は来てるワケだが…

駿祐本人ではないのだからと、
気にしないよう、努力をした。


それにしても、弟は、

気さくで、明るく、

皆から“ケータ ”と、呼ばれ、
親しみやすそうな少年だった。
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