俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「え?」

「イイんです!俺は、兄貴と違って才能ないし、ソレを分かっていて続けるより、何か他に、自分に合ったモノがあるような気がしてるんですよ!」

「まぁ…なぁ。そりゃあ色々とやってみるのも良いと思うぜ!凄いなぁ。俺がその歳の頃、そんなこと考えつかなかったよ。」

「…そうっすか?」

「俺はホラ、他になんも無かったし…でもな、やりたいこと見つけたんだよ!」

「へ〜。何すかソレ?」

「ダイビング!やっぱ俺、水が好きなんだよな!だから、まだ学生ではありたいんだ〜!」

「あんたねぇ!そんな理由で大学受験すんの?」

「…琴乃ちゃんの理由は何?」

「あたしは…」

琴乃は、何も言えなかった。

「ほら!そんなもんだろ?良いトコに就職して、イイ男ゲットして、」

「ち、違うもん!」

「…そんなムキになんなくてもイイじゃん。」

「だって…」

「たとえばの話だよ、そんなの…」


分かっていた…

自分に何も無いことぐらい、
痛いほど痛感している琴乃は、

あの夏、
駿祐とのことがあってから、
ずっと、頭の隅にそのことがあった。

自分にも目標があったなら、
もっと、自信やプライドがあったなら…

そしたら、何かが、違っていたような気がしてならなかった。

でも、未だ見つからず、

このままではイケないと、
だから、大学にいって、
何かを見つけたいと考えるのだ。

< 40 / 238 >

この作品をシェア

pagetop