俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
ちょうど、その帰り道、

琴乃は、紺野から、
ある話を聞かされることとなった。


「え?」

「仲が悪いワケじゃないんだけど…」

「じゃあ、ウマくいってないって、どーゆーこと?」

「駿祐は大変な時期で、ケータも、今、反抗期だろ…前は、こんなんじゃなかったんだぁ。逆に、スゲ〜仲良し兄弟だったんだぜ!」

「なんでそんなコトに?」

「分かんねーけど、やっぱ、淋しいんじゃねぇ?」

「誰が?」

「二人とも。」

「なんで?」

「駿祐はさ、小さい頃から才能を見込まれて、その期待に添うよう頑張り、家族はそれを応援した。」

「うん。」

「ケータは、兄が通うスイミングに、ついでに通わされ、兄を見習う様に言われ、比べられ、」

「そんな!」

「ま、途中で、駿祐とケータが、別者なんだと気付いた親は、反省し、ケータには、好きなようにやらせてたみたいだけど…」

「ホントの話?」

「うん。それを、“自分ばかりが、親に良くしてもらっている”って思った兄は、弟に悪いと、甘えることなく、更に頑張った。」

「…」

「弟は、兄の凄さも、大変さも分かっていたから、尊敬し、応援もしていたけど…やっぱり、自分の存在を不振に思いはじめたんだろうなぁ。」


琴乃は、
なんとなく、慶太の気持ちが、分かる気がした。


「昔みたいに、俺には何も言ってこないし、兄弟の仲を、他人が口出ししてもさぁ…でも、これ以上、気マズくなってほしくはナイから…」
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