俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
そこまでの結果は、

地元で、水泳に携わっている者には、
だいたい、予想のついていたことだった。


去年同様、
ハラハラもしなければ、
応援というより、観戦をしたと言ったほうが、しっくりとくる琴乃は、

ただ、“ズゴイ”とだけは思っていた。


なにがスゴいって、

それだけ泳ぎ込んでいる
駿祐のスゴさは、皆、知っているが、

その駿祐と、
昔、メル友だった自分に
今でこそ、驚くばかりだった。


オリンピックなどを観ていて、
いつも思うことがある。


メダルを首に、観客席に手を振る選手の姿を見て、

テレビに映っている、その家族達は、内心、どんな気持ちでいるのだろうかと…


歓喜、敬意と感謝はもちろんのこと、

それ以外にも芽生えてしまう気持ちを、ほんの少しだけ分かった気がした。


そして、紺野から聞く、慶太の気持ちも含めて…



国体とは無縁の紺野は、
同じく無縁の琴乃を誘って、中学のプールでひと泳ぎしていた。


嫌々ながらも、来てみれば、
馴れた水に、心落ち着かせている琴乃のもとに

慶太が歩み寄ってきた。


「ち〜す!」

「ども。」

「暇人ですか?」

「ヒド〜イ!来てくれって言ってたくせにぃ」

「部活ないんすか?」

「気分転換です!」
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