俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「おい!ケータイ鳴ってるぞ!」


階段の上から、慶太が怒鳴って教えると、

トントントンと、駿祐が階段を駆け上がってきた。


着信音は、もごもごと、話し声へと変わり、

しばらくして、

「ケイ、ありがとな」と

駿祐の声が、ドア越しに聞こえた。


夕食の時、

食卓から見える、
リビングのテーブルの上の、ケータイが
マナーモードで光っているのに、慶太は気づいた。


「鳴ってる。」

「んあ。」

「応援メッセージだって!もう、ずっとなのよ。嬉しいわよね!」

「…出ないの?」

「知らねーヤツばっかで、全部は対応しきれねー。」

「お母さんも、何回電話でお礼したものか。ね!」

「どっからか個人情報が流れてるんだよ。」

「ふーん。じゃあ、俺も居留守を手伝った方がいい?夏祭りの時みたいに。」

駿祐は、上目使いで慶太を睨みつけた。

「なぁにそれ?」

「…なんでもない。」

「…今日、学校に、紺野君と柴田さんが来たよ。」

「…」

「まあ、久しぶりに聞く名前ねぇ。」

「兄貴はスゴいってさ!」

「あ、そう。」

「インハイもイケるって。」

「…」

「彼氏もいないってよ…」
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