俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「何もなかったってワケでもないだろ?…何があったか知らないけど、少なくとも兄貴は、」

「覚えてるんでしょ?あの日…あたしが…」

「浴衣姿だった。」

「え?」

「あんなインパクト強いの、忘れるワケないじゃん。」

「…変だった?」

「そうじゃなくて!…兄貴の見たことない琴乃ちゃんを、俺は知ってるんだよね。」

「そーだ、…ね。」

「初対面は水着だし…」

「水着姿なんか見慣れてんでしょ?」

「あー。俺、集中力に欠けてるからダメなんだぁ。」

「…マセてるかと思えば、案外、イジケ虫なんだよね。」

「育った環境で……琴乃さんが、そうやって遠慮がちなのは、何故に?」

「女の子だから。」

「兄貴にだけ?紺野君には、そうは見えないけど。」

「そんなこと」

「気になるな〜、高校生の恋愛事情。」

「君はまだ先でしょ!」

「同じ高校行こうって言われててさ、どんなもんかと…」

「あら、彼女?」

「お先に〜。」

「なによ、それ!」

「素直になりなって!なんかさぁ、暗いよ琴乃さん。」

「!」

「男にだって色々あるからさぁ、重い女の面倒なんか、見きれないって!」

「あたしが重い?」

「うん、ウジウジしてるっていうか…皆、ガンガン告って、バンバンふられてるよ!ここらで琴乃さんも、スパッとさ!」
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