俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「…」

「男はアイツだけじゃないんだし…もしかしたら、ヒットするかもしれないし。バキューン!」

「それはナイよ。」

「わかんねーじゃん!」

「考えられない。あんな凄い人の彼女なんて…」

「…ふふ。変なヤツ!皆、兄貴の女になりたがるゼ。」

「あたしは、ふさわしくない。」

「比較されるから?そんな、まわりなんか気にすんなよ。」

「それに自分でも……慶太君なら分からない?」

「…俺とあんたは違うよ。俺の場合、兄弟を選んだり、拒否なんかできないじゃん。」

「…」


この時、

慶太本人の口から、初めて聞いた本音が

思っていたよりも、ずっと深いものなのだと知った琴乃は、


普段、そんな様子のみじんも見せない慶太に、

心を打たれていた。


「結局さ、琴乃ちゃんは、兄貴のこと好きなの?」

「え…」

「じゃあ質問変えるよ…あの夏祭りの頃、あの時は好きだった?」

「……うん。」


頷いたまま、下をうつむく琴乃を前に、

「あのさ、」

慶太が、何かを言い掛けた時


「慶太の言ってた飲み物なかったから、皆、同じヤツで!」と

紺野が戻ってきた。


「なんか話中だった?」

「ちょっと…高校のこととか…」
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