俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
紺野と別れたあと

駿祐は、

食事中も、シャワーの時も、歯を磨いていても

ひとりになると
さっきの話が、頭を過ってしかたがない。



次の日の練習で
タイムが芳しくなく、
叱咤激励されれば、

ベンチに腰掛け、貧乏揺すりしながら
天井に向かって叫んでみせた。


「クソッ!」


集中できてないワケではなかったが、

(紺野のヤツ、こんな時にあんな話しやがって!)

自分の腑甲斐なさも、そのせいにする駿祐。


それからも、苛立ちから、
400メートルのペース配分を、冷静にコントロールできないでいる自分に
また、腹をたてていた。



その帰り道、
なんとか苛立ちを押さえながら、
ただ黙々と家路へと向かう駿祐は、
今まで、人に八つ当たりしたことなどなかったのに、

珍しく、親を無視して部屋へと向うと、

荷物を床に叩きつけ
ベッドに倒れ込んでは、
仰向けになり、しばらく天井を見つめていた。


ふと、机に目を移し、

その上で、隅っこに追いやられた琴乃の写真をみつけると、それをめがけ、ゆっくりと歩み寄る。


そして、手に取った写真を、ただ見つめていたかとおもうと、
何を思ったのか、

突然、ケータイを取り出した駿祐は、

気負って、紺野へと電話をかけはじめた。
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