俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
送信者 駿 
タイトル 無題 

『インターハイ出場決まった。』


相変わらずの、懐かしい、ぶっきら棒な文章。


受信時刻を見ると、30分以上も前のものだった。


慌てて返信しようとした琴乃の指は、

2度押しをして、空メール送信となってしまい、

「ヤバッ!」

とっさに、
記憶していた親指が、
勝手に、駿祐のケータイ番号を連打していた。


耳の奥の方まで響く、呼出し音が途切れると、


「もしもし?!」


久しぶりに聞く駿祐の声に、
琴乃は、言葉につまり、声も出せずにいた。


「…久しぶり。」

「うん。…ごめんね、お風呂に入ってて」

「ヘンなメールがきたぞ」

「そうそう、ビックリして、操作ミスしちゃった。」

「なぁんだ、話すことナイってコトかと思ったよ。」

「まさか!…えっと、そうだ、おめでとう!」

「あー、ありがと。」

「やっぱり凄いね!」

「…そりゃあ、努力したから…周りが遊んでるのを横目に…」

「あ…ごめんなさい。」

「違うよ!そーゆーコトじゃなくて、…俺、不器用だから。」

「え?」

「…水泳と何かを、両立させることできなくて…何か言われないように、まず、やることやらなきゃって思って、ずっと、インハイを目指して…」
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