俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
第三章 青い時(とき)季

ふたりの世界

着信音に気付き、
携帯電話を耳にあてた琴乃の笑顔は、
突如、不思議顔になった。

「ワリィ。そのまま、改札抜けて!」

「なに?どうしたの?」

「すぐに追い掛けるから、大丈夫!」

「えぇ?」

「いいから!あとで説明するから!」


言われるがまま、
琴乃は、待ち合わせた場所から離れ、駅へと向かった。


そして、改札を抜け、少しだけ歩いたところで、

「よっ!」

後ろから、駿祐の声に呼び止められ、

「あ〜。何だったの?」

腑に落ちない顔の琴乃。


「そばに高校のヤツが居たから。」

「…ふーん。」


よっぽど、琴乃の表情が変わったのか、

「となりの中学出身だったって言ってたから…」

「女の子?」

言い訳をはじめた駿祐の様子で、何かあることは見当はついた。


「ああ。ちょっと厄介なヤツで」

「そうなんだ…」

琴乃には、何も言い返せない理由があった。


駿祐のインターハイは、
400メートル自由形 
第4位 という成績で幕を閉じた。

地元では有名な話で、

それまでも、浮いた話があったであろう駿祐は、

まさに今、旬な、話題の人物となっており、

そんな人の彼女だなんて、
恐縮するばかりの琴乃だったのだ。
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