俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
時計の針が、11時を回った頃

琴乃は、ひと足早く、店をあとにした。



「琴!」

1分も歩かない内に、
呼び止められ振り向くと、
そこには、駿祐が立っていた。


「…どうしたの?」

「これ。なくなっちって。」

煙草をチラつかせる駿祐を、
目を細めて、見つめる琴乃。


「アイツ、案外、束縛するタイプか?」

「明日、出かけるから!朝が早いの。」

「…あのさ…今日、俺が来たことは…」

「うん。分かってる。言わないつもり。」

「信用してないワケじゃないと思う。ただ、まだ酒も認められない、ガキなもんだから…バレると分かってて、わざとやったんだろうなぁ、ハガキ。」

「寺岡家はさ、シーンとしてるの?」

「フッ。何かを伝えたいコトがある度に、物が紛失するワケじゃねーぞ。」

「それは困るもんね。」

「…近くまで送ろっか?」

「大丈夫。皆、待ってるよ。」

「いいよ、待たせておけば」

「…相変わらず自由だね。人の気も知らないで…」

「え、誰の気?」

「何でもナイ!」

「…知らないフリした方が、良い時もあるんだよ。」

「…前から、気になってたことがあるんだけどさぁ。」

「んあ?」

「どうして」
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