俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「だって、あのふたり仲良いから、伝言ゲームみたく伝わったのかと…」

「ふーん。じゃあ、何かあったんだぁ?」

「んっとね、告白されたことはあったけど…」

「やっぱり。」

「だって、誰かれ構わずってワケにはいかないでしょ!」

「じゃあ俺、ちょっと遅かったら、あぶなかったってとこ?」

「知ってる?なんかね、亜希が言うには、“まずは友達から”って言うのは、フリ台詞なんだってぇ。」

「……あっぶね!!!」

「?なに?」

「え…アレ?…琴って…もしかして、天然さん?」

「…ヒドイ!そんなこと言われないよぉ。」

「いや、言わない…つーか、言えないのでは?」

「そんなコト無いもん!」

「…なあ、大丈夫か?…これからは、彼氏が居るって断れよ!」

「…彼…氏…」

「えぇ?(そうかぁ。)あのさぁ、もう、中学のガキじゃないんだからな!(コイツ、)あの頃みたく、両思いってだけじゃなくて、(分かってなかったのかぁ)つきあうんだよ、今から、俺達。」

「…う、うん。」

「わかってる?琴は、…もう、俺のものなんだからな!大丈夫か?」

「…」


何も言えない琴乃の目からは、
みるみる涙があふれて、しかたがなかった。


そんな琴乃の頭を、
優しく撫でる駿祐の手は、
徐々に、後頭部までを覆い
そっと、自分の胸元に、琴乃を引き寄せた。


やっとのことで、思いが通じ合った瞬間だった。
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