俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
駿祐の近況に、変化があったであろうことぐらい、

幼い頃から、兄を手本にしていた慶太には、気づいていた。


大会以来、
紺野は中学には出向いていない。

と言うよりも、
あえて、慶太から遠ざかっていたのかもしれない。


軽い気持ちで慶太と交わした、
琴乃のコトについての話を、気にしていたからだ。



メールのやりとりをする駿祐の様子を見て、

昔を思い出し、つい、状況を重ねてしまう慶太は、

その相手が、琴乃なのではないかと、感づきはじめていた。



ある、日曜の朝。

「あれ、兄貴はプール?」

「んー?そんな格好じゃなかったわよ。」

「ふーん。」


遅めの朝食をとった慶太は、
二階に戻り、駿祐の部屋の前で立ち止まった。


すると、居ないのは分かっていたが、
軽くノックしてから、
そっとドアを開けた。

そして、2、3歩だけ中へ入った時、

卒業アルバムを見た時には、
机の上で、本の影になっていた琴乃の写真が、

正面に置き直されているのが目に入った。


「…やっぱり。」


そのまま部屋を出ると、
自分の部屋に戻り、
窓から空を見上げた。


「天気いいなぁ…(なんか、勉強って気分じゃねーや!)」

そう、呟いた。
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