俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
二人で居ることに慣れてきた駿祐と琴乃は、

ありきたりのデートコースのあと、

観覧車のそばを歩いていた。


「乗ってみる?」

「うん!いいよ!」

さっそく、その列に二人は並んだ。

そして、乗り込んだ、その窓から見える、夕日の傾きかけた景色が、
しばらくふたりを無口にさせていた。


「あ、あたし、コレ乗るの久しぶりだなぁ。」

琴乃が気を使って喋りだすと、

「俺も。」

駿祐も話にのってきた。

「またまたぁ。」

「なんでだよ!ホントだって!」

「イイって!」

「なにが?」

「あたし、駿祐の過去も未来も、拘らないから。」

「…そうなんだ?」


室内が、急にしおらしくなった。


「あたし、縛り付けることはしたくないの!」

「…」

「でも、今は…今だけはね…あたし、」

「でも俺、とっくに縛り付けられてんすけど。」


そう言って、
向かい合って座っていた駿祐は、
琴乃の隣に移動してみせた。

「ちょっ、傾かない?」

「大丈夫だよ!ホラ、もうすぐ天辺。」

「え?」


次の瞬間、駿祐は、
琴乃の顔を覗き込むように
キスをした。
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