俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
その日から慶太は、
塾帰りに、コンビニを覗いたり、まわりをキョロキョロしながら歩いている。


そして、琴乃と駿祐が一緒のところを見かけた時は、そのまま帰ることにしていたが、
そうではない時は、積極的に声をかけに行った。


そう、慶太は琴乃に恋心を抱きはじめていたのだ。


そんなこんなしているうちに
季節はすっかり冬となり、
受験勉強もラストスパートに突入していった。


そんな受験生でも、クリスマスくらいはと、

電飾で彩られた街並や、込み合ったショッピングセンターを、ただ並んで歩くだけのことでも、

高校最後のクリスマスを、
こうやって、駿祐といられることが
琴乃にとっては意味のあることだった。


互いの知り合いと出くわすと、軽く挨拶なんかも交わして

そんな中、偶然にも、彼女らしき人物と一緒の慶太の姿を発見!


慶太は、全く気が付いていなかった。

というより、
駿祐が気を使い、ふたりとは逆の方へと向きを変えた。


「あの娘が彼女かぁ。」

そんな、琴乃の言葉を、
駿祐は不思議そうに聞き返す。

「あの娘が?」

「あぁ、前に言ってから…同じ高校にするとかしないとかぁ。」

「そんな話、いつしたの?」

「えっとね、夏かな?うん。」

「…」

「たまに、駿の話にもなるよ。」

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