俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
ある日、

風呂上がりの慶太が、水分をとりにキッチンヘやってきた時、

リビングに居た駿祐が声をかけた。


「こないだ見たぞぉ。あれ彼女?」

「…なんだよ急に!」

「マセガキがぁ。」

「うるせっ……珍しいな、そっちからそんな話…」

「おまえが、“話かけるなオーラ”漂わせてるんだろ。」

「最初にそっちが、“聞いてくるな”って態度とってきたんじゃねーか。」

「…何か聞きたいことでもあったのか?」

「…別に。」

「そ?」

「そうだ、兄貴の学校って可愛い娘いないワケ?」

「はぁ?」

「女に浮気の心配されててさぁ…だから言ってやったんだ“うちの兄貴は、中学の時からの女に一途なんだぜ”って!」

「?」

「同じ血が流れてるってこと!解かれよ…」

「…俺とおまえは、根本的なとこが違うだろ。」

「なんだよ!」

「おまえは、何をやっても許される…愛敬も要領も良くて、俺は羨ましかったよ。」

「!」

「いつだって可愛がられてて…俺には敵ばっかだった。ま、一匹狼的で自由だったけど。」

「そんなもん…ただ、ニコッと笑いかけてやりゃイイだけじゃんか。」

「それができれば、こんなんじゃ無かったろうなぁ。」

「…難しいことじゃねーだろ、そんなこと。」

「大学行ったら、もう少し上手くやって…大人な努力してみるよ。サンキューな!」
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