俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
受験に失敗した紺野は、他の大学へ妥協はせずに、
浪人生活を選ぶことにしたらしい。


春、新学期が明けて、早々にも駿祐は
日本選手権へ挑み、敗退し、
また、色んな面での戦いが始まった。


慶太は、
少しでも、駿祐の気持ちを理解してみようと、水泳部に入部。

もちろん、兄の、その重圧は、予想以上だったが、
持ち前の性格で、乗り切っていく覚悟を決め、挑んでいった。


ふたりと比べ、それほど変化のない琴乃は、
話に聞いていて、予想どおりのキャンパスライフと、平凡な毎日を過ごしていた。


たまには約束して、東京で待ち合わせたこともあったが、

駿祐が帰って来て、会ったほうが、どこか、互いに安心した。


「ヒィヤ〜!たいした地元愛だね〜…演歌だよ!」

「なにそれ?」

「♪私は港。あなたが帰る場所は〜♪みたいな?」

「普段、大学と練習と寮のローテーションだから、あたしが行っても、どこに連れて行ったものか、悩ませちゃうみたいで。」

「ちょっと!どんだけ田舎モンなの?隣の県じゃん!」

「だって、ウロついてる時間がもったいなくて…こっちならわかるしさ。」

「そりゃそうだけど。」

「事は足りるし。」

「足りるどころか、発信源でしょ〜、ここは!」

「亜希だって、“地元愛”どっぷりじゃん!」

「そりゃあさ、どこ行くにも何するにも、こんなに便利な街はナイけど…東京も好きなのよねぇ、私。」

「…今度さぁ、案内してよ!」
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