俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
なぜならば…

あの日以来、
琴乃は、言葉を選びながら話す、癖がついてしまっていたのだ。


そしてふたりには、
水泳の事が抜きの思い出が少なかった。

と言うより、

それまでの駿祐には、水泳以外、無かったのだから仕方がない。


そんな時、
駿祐が指を差して言った。

「あそこ行こっか?」


その先にあるものは、『ホテル』と書かれた文字だった。


「なに言ってんの、怪我人のくせに!」

「…だよなあ。(ホント、なに言ってんだ俺)こんなんで…(みじめなだけじゃん)なぁ!」


笑い飛ばす駿祐を横目に、
ホッとする反面、
コレで良かったのか、半信半疑の琴乃は、

少しだけ、後悔すら覚えていた。



あまり、歩き回るのも気を使うということで
寺岡家に出向く機会があった琴乃は、
寺岡兄弟の実態を垣間見ることができた。


はじめて家にあがった時、
リビングに居る琴乃の姿に慶太は、目を疑った。


「お邪魔してまぁす。」

「あ、あー、どうも。」


慶太の表情をみてから、琴乃に目を移した駿祐は、そっと尋ねた。

「あれ?なんか、色々話す仲なんじゃねーの?」

「でも、なんかヘンな感じで…あ、いつもは居ない駿が居るからだ!」

「なんだよ、オレ邪魔者かよ!」

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