俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
「だって、寺岡ブラザーが一緒のとこなんて見るの、初めてなんだもん!」

「珍獣の生態観察みたいに言うな!」

「だって珍しい事だから。」


二人の会話のやりとりを、冷蔵庫を覗き込みながら、耳を大きくして聞いていた慶太だったが、
缶ジュースを取り出すと、片手で振りながら、
わざと
リビングの方を見ることなく、
自分の部屋へと戻って行った。


「…アイツがおまえと話すトコなんて、想像できねーな。」

「ぶはは!」

「なんだよ?」

「その台詞、前に慶太くんも言ってたからさ!」

「…」

「紺野は遊び来たことないの?」

「あるよ。あの頃は俺たち、まだ話してた頃だったから」

「…紺野、元気かな?」

「どうしてるんだろうな?」



それからしばらくして、

まだ、杖をつきながらだけど
なんとか生活できるようになった駿祐は、
大学の寮へと戻って行った。


実家に帰って来るのも大変らしく、
戻ったら、それっきりで…

琴乃も
東京には足を運ぶことはあっても
会いに行くことはなかった。


もちろん、いつも報告はしておくが、
駿祐も、今は自分のことがいっぱいいっぱいのようで

『ごめん!メール見る時間が無かった。今どこ?』

こんなメールが返ってくる。

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