俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
『用事も済んで、そろそろ友達と帰るところ。また、今度ゆっくり会おうね!』


決して、わがままを言えない琴乃は、
自分の気持ちにウソをついたメールを送る。


向こうから“会おう”と言われればベツだが

自分から“会いたい”と言うのは
今ではないことぐらい感じていた。



ギブスが外れ、スポーツドクターとの、本格的なリハビリに入った駿祐は、
一見、服の上からでは、怪我人には見えない程にまで回復。


徐々に、プールにも入るようになって、
不安からも解放されつつあったある日


東京で会っていた二人は、
琴乃を送りがてら、
いつしか、地元の街を彷徨っていた。


なんだか、お互いが、
後ろ髪をひかれるように
なかなか、離れられずにいると
しだいに無言になっていき…

ついに、琴乃の方からきりだした。

「そろそろ、寮に戻らないで大丈夫?」

「な〜んか、今日は実家に帰ろっかなぁって…」

「じゃあ、もう少し一緒に居られるね!」

「…まぁ…ちゃんと家まで送るよ。」

「う、うん。」

「…」

「あのさ、どっか入らない?」

「!。え、え?」

「昼間、暖かかったから薄着で、ちょっと寒くなってきちゃった。あったかいものでも飲みたいな。」

「ああー!そーゆーコトね。」

「?なんだと思った?」

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