無理矢理繋いだ赤い糸
真実は唯一つ。
「触るんじゃねぇよ!」
気付いた時には怒鳴った後で。
瞬時にしまった、と思ったけど、凍りついたような周囲の静けさと、俺の中の怒りは今更どうにもできなくて。
「え?なに?…俺?」
怒鳴られた張本人は至って普通に、俺の事?とか言いながら、自分を指差して呑気なもんだ。
背後に悠也マズイだろそれは、とか言いながらダチが近付いてくるのが分かる。
それでも俺は視線は前に向けたまま、杉原ではなく、女の方を真っ直ぐに睨んでいて。
「おい」
「………」
「シカトしてんじゃねぇよ」
「………」
相も変わらず無言で目を逸らしたままの女に舌打ちをして、ごめんね?って言いながら人の前を通ってそいつの前へ。