伝え忘れた想い。


「じゃあね、ハナ。部活頑張ってね〜」



「あいよーっ、サチも金森もバイト頑張ってね〜」



「うん〜」



放課後はバイトの時間まで金森と教室で時間を潰す。



「ねぇ、金森。

来週の土曜日買い物行かない?」



「iPod買ったのにお金に余裕があるのね」



「お年玉〜」



「そういうことか。いいよ」



「やった〜♪」



金森と話しながら視線を時々外に向けたりする。

そんなあたしの行動をハナと違って金森は敏感だ。



「…リンダ先輩もまだ行かないんじゃない?」



「は、なにそれ。リンダ先輩関係ないし」



金森の言葉に体が固まる。


もしかにして金森気づいてるのかな。




「まぁ気づいてないふりしてあげてるから、その気持ち、自分自身は認めたら?」



金森の言いたいことは分かったけど、あたしは無言で気づいてないふりをした。



そんなあたしたちが学校を出たのはその20分後のことだった。



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