伝え忘れた想い。
歩きながらたわいもない話をする。
「そういえば、リンダ先輩今日も遅刻ギリギリに登校してたでしょ?」
「うわ、見てたのかよ」
「あたし今窓際族なんで」
「なんだそれ(笑)」
あたしとリンダ先輩の距離は1人間に入る程。
近くもなく、遠くもない距離。
「あれから…痴漢、されてないか?」
気まずそうにリンダ先輩は3ヶ月前の出来事を口にした。
「はい、大丈夫です。リンダ先輩と帰れない日はお兄ちゃんが迎えに来てくれるから」
「それは良かったな」
「はい」
3ヶ月前、バイト帰りにあたしは痴漢に合った。
痴漢じゃ生抜いかもしれない、暴漢されそうになったのだ。
後ろから口を塞がれ、ビルとビルの間に連れて行かされて襲われそうになった。
その時助けてくれたのが同じ高校で、
あたしがバイトするスーパーの隣の花屋でバイトしているリンダ先輩だった。
犯人はリンダ先輩があたしを助けてくれた瞬間に逃げて行った。
もしかするとまた来るかもしれないからとリンダ先輩は
あれからバイトが被る日は一緒に帰ってくれるようになった。