伝え忘れた想い。


「でもこれ可愛いね」



「でしょ?色も形もお気に入り」



「オレンジか〜。あたしならピンクかな」



「オレンジの方が可愛いよ」



オレンジ色の長細いiPod。

5年という経過を感じさせるような傷や角が欠けてたり
保護用のシリコンのカバーだってボタンの所が破れている状態。


別にiPhoneにだって同じ曲やそれ以上に入れている。


でもあたしはこれを使うのをやめない。



「5年使ってるって本当庄司は物を大切にするね」



「まぁね…大切な物だからね。

因みに自転車は9年の付き合いです」



「あんた本当すごいわ」



あたしを感心する様な目でアオは見てくるけどあたしからしたらこれが当たり前。


反対にすぐ物を壊す人たちの気持ちが分からない。



「このiPod使ってる人もういないでしょ。はい、ありがとう」



「……そうかな」



アオから返ってきたiPodを見つめる。







「まだ使ってる人……いてほしいな」





あなたはもうこのiPodを使ってないのかな?


ねぇ、あなたは今どこにいますか?
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