伝え忘れた想い。
「まぁ、俺もいるし、兄ちゃんもいるし、お前は青春を楽しめ」
「フフ、竹村さんと同じこと言ってる」
「あ、本当だ」
さっきまで暗くなっていた空気が明るくなる。
リンダ先輩が纏う空気はとても安心する。
「じゃあ、また明日な」
「はい」
家まで送ってもらうと、リンダ先輩の背中が見えなくなるまで見送る。
『バイトして恋に巡り合うこともしたい』
『まぁ気づいてないふりしてあげてるから、その気持ち、自分自身は認めたら?』
『幸子ちゃんを見てたらどれだけリンくんのことを好きか分かってるから』
認めたい、でも認めたくない。
そんな気持ちの中であたしは本心に鍵をする。
気づかないように。
だって気づいたらこの関係ではいられなくなるから。