伝え忘れた想い。
まだ片方つけていたイヤホンから流れる曲のせいで涙が溢れた。
「え、え、どうしたんだよ」
いきなりあたしが泣き出したからリンダ先輩は慌てるようにリュックからタオルを取り出す。
「これ綺麗だから、な、これで拭けよ」
リンダ先輩の優しさにまた泣けてきて涙は止まることを知らない。
「どうしたんだよ、コウコ、泣くな?」
タオルを受け取ると、目に押し当てる。
「強く押し当てるな、腫れるから。軽くな」
「は…いっ」
泣きながらリンダ先輩の言う通りにする。
泣いている間、リンダ先輩はあたしの頭をずっと撫でてくれた。
優しく、優しく、まるで子供をあやすように。
あたしが泣き止んだのはそれからしばらく経ってから。
泣き止んだのを確認するとリンダ先輩は自販機でココアを買ってきてくれた。
「ほら、飲め」
「ありがとうございます…」
「えっと……なんで泣いたか聞いていい?」
「…聞かないで下さい」
さっきまでの自分に恥ずかしさしかない。
ココアを飲みながら内心は叫びたいほど逃げ出したい。
「まぁ、なんて言うか…うん、えっと、まぁあれだよ」
リンダ先輩もどうフォローして良いのか分かってないようだ。