伝え忘れた想い。
「まぁ、元気だせ」
「あ…はい」
予想外にありきたりな反応で少し驚く。
「帰るか?」
「はい…」
「じゃあ、帰るか」
ベンチから立ち上がると、公園を後にした。
暗い夜道、リンダ先輩と歩く。
でもいつもと違うことがある。
それは並んで歩いてないということ。
あたしがリンダ先輩の1歩後ろの位置にいる。
いつもならリンダ先輩は無理矢理にでも自分の隣を歩かせるのに今日はそんなことをしてくる気配すらない。
多分だけど、あたしが泣き顔が恥ずかしいと思ってるからだ。
そんなリンダ先輩の優しさに嬉しくなる。
「リンダ先輩」
「ん?」
あたしが足を止めると、リンダ先輩も止まる。
そして振り向いてあたしを優しい目で見てくる。
もうダメだ。
ずっと逃げていた。
自分の気持ちに気づかないふりをして自分を守り続けていた。
でも、もう認めてしまった。