伝え忘れた想い。
「リンダ先輩」
「だから何だよ」
「iPod…嬉しい」
「は?iPod?」
自分でも遠回りだと思う。
「オレンジで………先輩とお揃いのiPodが嬉しい!」
自分でも馬鹿馬鹿しいと分かっている。
「何、iPod俺とお揃いが嬉しかったの?」
リン先輩の質問に素直に頷く。
「何だお前、可愛いな」
リン先輩はあたしに近付くと何時もの様に頭を撫でる。
可愛いって言われた……照れる。
照れる気持ちを隠しながら今まで怖くて聞けなかった質問をする。
「リンダ先輩っ」
「ん?」
「バイト、いつまでするんですか?」
言った瞬間、何故か頭の中で金森の言葉が浮かんだ。
『庄司時間ないよ、さっさと認めないと何もかも失うよ』
金森の警告は遅かったのか、それとも早かったのか。
「……明日」
「あし…た」
リンダ先輩が申し訳なさそうにあたしを見つめる中、
あたしは呆然とこの無いに等しい時間の長さの価値を考えていた。