伝え忘れた想い。
高校のクラスより約2倍ほどの人数で講義を受けていると
注意されない分、ノートを取りながら意識は違う所へ飛んでしまう。
いつもはお昼に何を食べようとか、
お昼の講義に隠れて食べるお菓子は何にしようとか、
晩ご飯は何だろうとか、
いつもは9割食欲に意識が飛ぶ。
けど今日は違っていた。
講義が始まる前に締まったiPodをポケットからまた取り出して太ももの上に置いて見つめる。
「庄司それiPod?」
「え?」
いきなり隣に座っていた田中に小さな声で声を掛けられた。
「それ5、6年前のiPodだよな?」
「そうだけど…?」
何なのいきなり…。
常識がある田中は、講義中だったらいつもはこんな風にぐいぐい話しかけるような男ではない。