伝え忘れた想い。


「金森あたし馬鹿みたい。

お揃いって言われた瞬間、何だか気持ちが一気に大きくなって気付いてない振りできなくなっちゃった」



ハナは朝練でまだ教室にいない早朝、宿題を忘れていたという金森に見せながら
昨日あったことを項垂れながら話した。




「なに、お揃いって言葉で好きっていう感情が大きくなっちゃったの?

あんた本当可愛いわね。

アイドルの偽物の純粋さより純粋ね」



「アイドルにもあたしにも失礼だよ」




わざわざシャーペンを置いてまで拍手されても嬉しくない。




「でも今日までとはね…そりゃ3年生だもんね、進学や就職あるし辞めるか。

反対に良くこの時期まで続けてたね」



「確かリンダ先輩進学だったはず…大学までは知らないけど」



「へぇ、すごいわね、勉強とバイトの両立、あっぱれだわ」



「…なにそれ」



「でもさ、庄司。バイトないからって何なの?

バイトがないとリンダ先輩には会えないの?


リンダ先輩はどこの高校だと思ってるの?ここよ?同じ高校よ?

会えるじゃない」



「でも…学校で話したことないし」



リンダ先輩は変な噂ができないようにと学校で見掛けても話したことがない。




「でもでもばかり言ってても何も進まない。

あの曲の通りちゃんと気持ちを認めたんだから伝えなよ、じゃないとその気持ちもったいないよ」



もったいない…。

確かにそうだ、今日でリンダ先輩はバイトも辞めるし、あと少しで学校も卒業して会えなくなる。


もしかすると一生会えなくなるかもしれない。



それなら伝えた方が絶対良い。


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