伝え忘れた想い。




金森から連絡が来たのはそれから5日後のことだった。



そして、今日初めてリンダ先輩のお家に訪れた。




「あやめ」



「あ、諒くん」



金森をあやめと呼ぶ男性。

金森が諒くんと呼ぶ男性。

この人が…。



じっと彼を見ていると、彼と目が合った 。



「幸子ちゃん、はじめましてって会ったことあると思うんだけど覚えてないかな?」



「え…?」


会ったことあるっけ?

記憶にない。


「正一が行方不明になった時…ずっと朝教室に来てたよね。

その時話したことがあるんだよ」



「そう…なんですか」



記憶にないはずだ、だってあの時あたしは1つのことしか頭になかったから。



「正一の友人であやめの彼氏の波瀬諒です。
庄司さん、よろしくね」



「よろしくお願いします」



「じゃあ2人とも家…入ろうか。

葬式自体はもう終わってるんだ、俺らの友達はみんな帰ったし親族のみなさんは客間にいるから気兼ねなくいてくれって」



金森と話し合った結果、葬式は参加するのは遠慮することにした。

だから時間をずらし、リンダ先輩の家に訪れた。




「お邪魔します」



お家に入ると何だか冷たい空気が走っている気がした。

波瀬先輩の後ろを金森と手を繋いで歩く。



「ここだよ」



波瀬先輩が案内してくれた一室にリンダ先輩はいた。


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