伝え忘れた想い。
金森の手を離し、部屋に入る前に一礼して、部屋に入る。
そしてリンダ先輩の遺影の前に立つとゆっくり座った。
「リンダ先輩…お久しぶりです」
記憶の中にいるリンダ先輩と同じ笑顔の遺影。
後ろの襖が静かに閉まる音が響いた。
金森と波瀬先輩の優しさだ。
「リンダ先輩」
真っ直ぐリンダ先輩の遺影を見る。
遺体なんてない、遺影しかない葬式という形の踏ん切り。
リンダ先輩のご家族がどれだけ悩んでこの決断をしたのか家の中に入って分かった。
「リンダ先輩…聞こえる?」
きっとここから離れた客間…それでも何人もの泣き声が聞こえる。
「みんな悲しんでますよ…今日だけ」
きっと今日だけみんなあなたを悲しみで包んでしまう。
けど
「明日からきっと、みんな笑顔を向けますよ」
リンダ先輩を好きなみんなはきっと明日からあなたはを過去にできるはずだ。
「だから心配しないで…」
涙が頬に一筋流れた。
写真の中で笑うあなた。
「リンダ先輩、あたしね、もう21になりました。
リンダ先輩が知ってるあたしからもう5年も経っちゃったんですよ?
早いですよね…」
返事なんて返ってこない。
ただずっと1人で話続ける。