伝え忘れた想い。







「リンダ先輩…あたしリンダ先輩が好きだったんですよ?

本当はこんな形で言いたくなかった。

ちゃんと先輩の顔を見て伝えたかった。


ちゃんと気持ち伝えて…答えが欲しかった」





最後に見た笑顔のリンダ先輩。


明日学校で会えると思って伝えるのをやめた。



明日伝えればいいやって


明日も明後日も会えるからって。




「リンダ先輩と一緒にいられる明日なんてなかったのに」




当たり前な日々なんてないとあの日あたしは知ってしまった。



「リンダ先輩が行方不明になってからどこかで生きていることだけが望みでした。

今もその気持ちは変わりません。

……でももう踏ん切りを付けたいと思います」




先輩のご家族が決断したように、あたしも今日でリンダ先輩を過去にしたい。




「リンダ先輩、これから大切な人ができた時はちゃんとリンダ先輩に伝えられなかった分伝えたいと思います」



本当はリンダ先輩にも伝えられたら良かったんだけな…。




リンダ先輩の遺影に微笑みを見せるとゆっくり丁寧にお辞儀をし、立ち上がった。



< 52 / 56 >

この作品をシェア

pagetop