伝え忘れた想い。


部屋から出ると、少し離れた場所に金森と波瀬先輩はいた。


笑顔で2人の元へ行けたが、その後波瀬先輩に案内されたリンダ先輩の自室で渡されたリンダ先輩の携帯を開いて

さっき止まった涙がまた零れた。




「君に見せたくて朝充電させてもらったんだ」



「なんで…」



「…正一もきっと君と同じ気持ちを伝えたかったと思うよ」




携帯の待ち受け…あたしだ。


リンダ先輩の携帯の待ち受け画像は中庭でお弁当を食べながら笑っているあたしだった。




「あいつさ、そんなに自分の恋愛をベラベラ話す様な奴じゃないからちゃんと教えてもらってないけどさ、いつも君のこと探してたよ」



「そんな……学校じゃ、話したこともなかったのに」



「恥ずかったんじゃないかな」



あいつ照れ屋だから、そう言って笑う波瀬先輩の横で優しい目をしてあたしを見る金森に勢い良く抱きついた。




「金森っ」



「ん?」



金森は、抱きついて来たあたしを拒むことはせず、優しく背中に手を回した。




「やっぱり…やっぱり、伝えたかったよ…」



「……うん」




もし、もしリンダ先輩に気持ちを伝えることができていたら

あなたはどんな反応を見せてくれましたか?



照れ屋なあなたなら顔を赤くしてくれますか?



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