妖しがりて寄りてみるに
長い長い電車とバスの旅を終えて
目的の駅に着いたのは午後4時だった。
夕方よりは早いかな?
まだ、空は青くて
蝉がたくさん鳴いている。
回りに見えるのは、山、たんぼ、小川。
まばらな人家と畑。
林…くらいかなぁ〜。
私には、田舎はすごく珍しい。
吹き抜ける風が、心地よく感じる。
なんだ、いいじゃん。
たまにはこう言うのも楽しいかも。
自然を体でめいっぱい感じて、元気になってきた。
回りを見渡していると、一台の車が広めの道からやってきた。
車は私の前で留まると、窓が下ろされて、中から懐かしい感じのおばちゃんが顔を出した。
「あら、日和ちゃん久しぶり。
みちがえちゃって!
ここにいなきゃ、きっとわからなかったわぁ〜」
とニコニコしている。
「暑いでしょ。
乗って、乗って。」
促されるままに、私は車に乗り込んだ。
「あの…よろしくお願いします。」
まだ、この目の前の人が、誰か思い出せないまま、私は挨拶をした。