妖しがりて寄りてみるに
「子供たちは、まだ部活や学校から帰ってないのよ〜」

廊下を歩きながら、おばちゃんが話す。


「帰って来たら呼ぶね。
 日和ちゃんの部屋はここよ。」


そう言って通されたのは、襖開きの部屋なんだけど、まるで旅館みたいに小さいテレビやテーブルも置いてある。

割と広い部屋。



「普段は使ってない、客間だから…遠慮なくね。他の人がいる部屋とも少し離れてるから、気遣い不要よ!」

「ありがとうございます!」


部屋の真ん中には、昨日送っておいた荷物が到着していた。



「そして…っと。」

「この家に住んでるのは、日和ちゃんのお父さんのお兄さんと、その奥さんの私。
 で日和ちゃんの従兄弟で、私の子供の謙一郎と美沙(みさ)。
 それから、ばあちゃんと…日和ちゃんや謙一郎らとは、ふた従兄弟になるのかしら?
 この廊下の奥の階段の前の部屋に、蓮(れん)くんが住んでるのよ。

まぁ、覚えてないわよね。
親がいなくなっちゃって、うちが引き取った子なんだけど…日和ちゃんと同じくらいかしら?

後から、のぞきに行ってみるといいわ。

体があんまり強くなくて、部屋にいることが多いから。」


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