妖しがりて寄りてみるに
襖をあけて1番に目に入ったのは、おびただしい数の本だった。
本棚には入り切らなくなって、いたるところに積み上げられている。
そして、部屋の真ん中に座っている、キレイな男の子。
肌の色がすごく白くて、髪の毛は薄茶色でサラサラ。決して長くはないんだけど、手触りがよさそう。
目も大きいけど、切れ長ですごく整った顔立ちをしてる。
そんな、お人形みたいな男の子が、にっこり笑いながら私を見ている。
「久しぶりだね、ヒヨちゃん。」
私は、久しぶりって言われても全然ピンとこない。
「おばさんにヒヨちゃんが来るって聞いてて、すごく楽しみにしてたんだよ」
全然覚えてないけど
なぜか声が懐かしく感じる。
私の心臓がドキドキしてるのがわかる。
こんなキレイな人、見たことない。
「ヒヨちゃん、かわいくなったね」
また
ドクンと心臓が鳴った。
相変わらず、笑顔の蓮くん。
「戸を閉めて、入っておいでよ。ジュース飲むかな?」
私は言われるままに、部屋の中に入って行った。