妖しがりて寄りてみるに
蓮くんは、音も立てずに、キレイに晩ご飯を食べる。

私は、そのしぐさに釘付けになる。


「メロン食べる?」

蓮くんが、そんな私を見て笑いながら言った。


「いいよ!」



私は、自分がお腹いっぱいなのを思い出した。


「ねえ、ヒヨちゃん
 七月の終わりに夏祭りがあるんだ。
 また、髪の毛可愛くするから、一緒に行こうね。
 花火も少しだけど見られるよ」


「ウン。行きたい」


微笑む蓮くん。


胸がギュッとなる。



なんだろう。

この気持ち。


蓮くんがメロンを一口頬張る。

口から滴る果汁が、すごく色っぽい。


つい顔を背ける。



「やっぱり食べなよ。
メロン。」


蓮くんは、膝をつくと
私の方へ身を乗り出した。

重なる手と手。


どうなるか、わかってるくせに逃げられない。



私はギュッと目を閉じた。



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