妖しがりて寄りてみるに

蓮くんの唇が、私の唇に重なる。

柔らかいメロンの果肉が、口の中に押し入れられる。


果汁が滴り落ちてる。


ゴクン、と音を立ててメロンを飲み込んだ。


なのに、唇はまだ重なったまま…


メロンじゃない、生暖かいものが口の中を満たした。


果汁じゃないものが滴る。



いい香りにクラクラしそう。



私は、夢中で蓮くんの唇を味わった。


「イヤラシイ」


蓮くんは、クスッと笑いながら、口を拭った。



まだ夢心地だった私は、離された唇と蓮くんの言葉に我に返った。

一気に熱くなる、体温。



「今日は、もう部屋に帰りなよ。また明日。」


私は、勢いよく立ち上がって、部屋を後にした。



「はあっ…
 はあっ…」

肩が上下するほど、息があがってる。


どうしちゃったのかな、私。


蓮くんとキスしちゃった。
あんな初めてのキス。


…すごく気持ちよかった。
離れられなかった。



私って、流されやすいのかな?

篤くんと、初めてキスをした次の日に、別の人とキスするなんて。


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