妖しがりて寄りてみるに
20日間お世話になった部屋。
結局、美沙ちゃんとの約束も果たせないまま帰ることになった。
私って、男の人に夢中になっちゃうと、なんにもできなくなるダメ人間だったんだ…
帰ったらどうなるんだろう。
考えたくない。
布団をたたんで、荷物をまとめた。
後は、パパが来るのを待つだけ。
テーブルに顔をくっつけた。
なんにもしたくないやぁ。
しばらく、そうしているうちに夢の中へ誘われるのがわかった…
眠気に抵抗する気力もなく、そのまま眠りについた。
「……り、…より」
「日和!」
聞き慣れたパパの声で、目が覚めた。
「大丈夫か?」
「…パパ…」
「帰るぞ」
「…うん。」
頭がまだボーっとする。
私、そんなに眠ってたんだ。
時計を見ると、もうお昼を過ぎていた。
パパが私の荷物を持った。
本当にお別れなんだ。
この家とも
…蓮君とも……。