妖しがりて寄りてみるに
コンビニ近くの公園に、アイスを持っていくことにした。
ちゃんと話さなきゃ。
ベンチに腰掛ける。
夕方6時を過ぎた公園にはもう誰もいなくて、生暖かい風だけが通りすぎていく。
「で?話って?」
篤くんが、買ってきたアイスをあけながら言った。
「あのね、あの…
うちの親に今日言われたんだけど、」
「うん。」
優しい篤くんの声が、だんだん私を弱気にさせる…。
「…夏休みの間に、家を建て替えるんだって。
それで、その間、遠いお父さんの田舎に住まなきゃいけなくなって…」
だんだん、声が小さくなって上ずってくる。
零したくもない涙が、頬を伝う。
しばらく会えなくなるのに。
せめて笑顔でいたかったのに。
そんな私を篤くんは、抱き寄せてくれた。
「ヒヨ、俺に会えなくなるのが悲しくて泣いてんの?」
私は、小さくうなずく。
「すっげえ、カワイイんだけど。」
予想外の篤くんの言葉に、恥ずかしさと嬉しさで胸がギュッとなった。