妖しがりて寄りてみるに

「ねえ、ヒヨ」


特別優しい篤くんの声。


「キスしていい?」



私は、ビックリして思わず篤くんの方を向いたまま固まってしまった。


返事する間もなく、篤くんの顔が近付いてくる。



おでこ。


ほっぺた。


唇。



篤くんのキスが降り注ぐ。




「ヒヨ、俺だって一緒にいたいよ。
 こんなにカワイイ俺のヒヨ。」


そう言って、なんどもキスをする篤くん。



私は目を閉じて、すべてのキスを受け入れた。



私のファーストキス、めちゃめちゃ幸せじゃん。




「ヒヨ。
 連絡して?俺もするから。」


私は、思いきり頷く。


「期間限定の遠距離恋愛だと思えばいいよ。」


そう言って、またキスをくれた。



篤くんと公園を出て、バイバイした私は、笑顔がおさまらなかった。

キスしちゃった。


しかも、あんな幸せなキス。



すごくすごく嬉しいんだけど!



夏休みは、残念だけど篤くんと、すごく近くなれた気がして嬉しい。




私は軽い足どりで家へ帰った。


< 9 / 58 >

この作品をシェア

pagetop