偽り恋愛小説
私は読みたい衝動に駆られ、つい田辺くんのノートを手に取り、軽くページを捲った。
最近、書いたものらしく、ほんの数ページくらいしか書かれていなかった。
どんな内容なんだろう?
ドキドキしながら読み始めてみると、私と同じ名前の女の子が主人公だった。
私の他に留美と田辺くんの名前もあった。
最初は名前を借りて書いたものなのかと思ったが、おかしい。
読み進めてみると、この小説に書かれていることはほんの少し前にあったことだった。
そういえば、田辺くんが好きだと思ったのもその日からだ。