偽り恋愛小説



図書室のドアは開けっぱなしになっていた。


田辺くんがノートに何かを書いている姿が見えた。


何を書いているんだろう?


中に入り、声を掛けようとした。


すると、私の視線に気づいたのか、先に田辺くんが嬉しそうな笑みを浮かべてこちらを見る。


「やっぱり、木下さん来てくれたんだ」


さっきの田辺くんの言葉が頭に引っかかった。


まるで私が来ることが分かっていたみたいな口ぶりだった。



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