偽り恋愛小説
「……笑わない?」
「笑わないよ」
私がそう言うと、ホッと安堵した表情を見せた。
「小説を書いていたんだ。本を読んでいるうちに自分でも小説を書いてみたくなったんだ」
「へぇ! すごいね!」
田辺くんはこの学校で一番、本を読んでいる。
何故それが分かるのかというと、私の学校の図書室では月間で貸し出しランキングが学年を問わず、上位十名貼り出される。
そのランキングで、いつも田辺くんは一位だった。